定款|医療機関のM&A、譲渡、売却をお考えの皆様へ

定款

ていかん

定款

ていかん

定款とは、法人の目的や名称、事業の内容、機関の設計といった基本的な事項を定めた根本規則をいいます。法人の憲法にあたるものと表現されることもあります。医療法人の場合、定款の内容は医療法の定めに従う必要があり、その作成と変更には所轄庁の認可が必要です。医院の承継では、まず最初に確認すべき書類になります。

定款に記載される事項は、法人の名称、事務所の所在地、目的、開設する医療機関の名称と所在地、資産と会計に関する規定、役員に関する規定、社員と社員総会に関する規定、そして解散や合併に関する規定などです。持分のある医療法人であれば持分に関する定めが置かれ、基金拠出型であれば基金に関する定めが置かれます。

承継の場面で定款を最初に確認する理由は、そこに書かれている内容によって進め方がまったく変わるためです。確認すべき条項を順に挙げていきます。

第一に、持分に関する定めです。出資持分の定めがあるかどうかで、承継のスキームが根本的に変わります。持分があれば譲渡による承継が可能で、その評価額が承継の負担を決めます。持分がなければ社員の入れ替えと役員の変更によって経営権を移すことになり、対価の設計も別に考える必要があります。退社時の払戻しについてどう定められているかも、金額に直結する重要な確認事項です。

第二に、社員に関する定めです。社員となるための要件、入社と退社の手続き、社員総会の招集と決議の方法が記載されています。社員となるには社員総会の承認を要するという定めが置かれているのが通例であり、この手続きを経ずに承継を進めることはできません。持分の譲渡について社員総会の承認を要する、あるいは譲渡先を制限するという条項が置かれている場合もあります。

第三に、役員に関する定めです。理事の人数、任期、選任の方法、理事長の選出の方法が記載されています。承継によって新院長を理事長に就任させる手続きは、この定めに従って進めることになります。監事についても、人数と選任の方法が記載されています。

第四に、目的と事業に関する定めです。法人が何を行う法人として認可を受けているかが記載されています。ここに記載のない事業を実際に行っている場合、医療法人が営める本来業務と附帯業務の範囲を超えていないかを確認する必要があります。範囲を超えていれば、行政の指導を受ける可能性が残ります。承継後に事業の内容を広げる予定があるのであれば、定款の変更が必要かを確かめます。

第五に、開設する医療機関に関する定めです。診療所の名称と所在地が記載されているため、移転や名称の変更を予定している場合は定款の変更が必要になります。

第六に、解散と残余財産の帰属に関する定めです。持分のない医療法人では、解散した場合の残余財産の帰属先が制限されており、この定めが承継後の資産の扱いに関わります。

デューデリジェンスでは、定款の原本を確認するとともに、記載内容と実際の運営が一致しているかを照合します。定款に定められた人数の理事が置かれていない、任期が満了したまま改選が行われていない、定款に記載のない事業を行っている、社員の入退社が定款の手続きを経ていないといった不一致が判明することがあります。開業から長い年月が経った医療法人では、定款が古い制度のままになっていて現行の法令と整合しないという場合もあります。

もう一つ実務上の注意点として、定款の原本の所在があります。設立から長い時間が経った法人では、定款が見つからない、あるいは変更を重ねた結果どれが最新版か分からないという状態が生じることがあります。所轄庁に届け出た内容が正本となるため、写しの取得を含めて確認する必要があります。

定款は、医療法人の承継における出発点です。承継の可否と進め方がここに書かれています。交渉に入る前に原本を確認し、医療法人の法務に詳しい専門家と一緒に内容を読み解くことをおすすめします。
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