定款変更|医療機関のM&A、譲渡、売却をお考えの皆様へ

定款変更

ていかんへんこう

定款変更

ていかんへんこう

定款変更とは、法人の根本規則である定款の内容を変更する手続きをいいます。医療法人の場合、定款の変更は原則として所轄庁の認可を受けなければ効力を生じません。一部の事項については届出で足りる扱いが設けられていますが、いずれにしても行政の関与を伴う手続きです。医院の承継では、この手続きが必要になる場面と、それに要する期間が日程を左右します。

手続きの流れは、まず社員総会での決議から始まります。定款の変更は法人の根本に関わる事項であるため、通常の決議より重い要件が定款で定められているのが一般的です。決議を経たうえで、所轄庁に対して認可の申請を行います。認可を得た後に、必要に応じて登記の手続きを行います。

承継において定款変更が必要になる場面を整理します。

まず、開設する医療機関に関する事項の変更です。定款には診療所の名称と所在地が記載されているため、承継を機に名称を変えるのであれば変更が必要になります。診療所を移転する場合も同様です。院長の名前を冠した名称になっている診療所を承継する場合、新院長がそのまま使い続けるのか、変更するのかという判断が生じます。患者さんに定着した名称を変えれば認知の面で不利になる一方、前院長の名前を使い続けることに抵抗がある場合もあります。

次に、事業の内容に関する変更です。承継後に診療科目を追加する、附帯業務として新たな事業を始めるといった場合、定款に記載された目的や事業の範囲を変更する必要があります。医療法人が営める業務は本来業務と医療法に列挙された附帯業務の範囲に限られるため、その枠内であることを確認したうえで手続きを進めます。

三つ目に、役員に関する事項の変更です。理事の人数を変更する、任期を変更するといった場合が該当します。承継によって理事の構成を大きく変える際、現在の定款が定める人数の枠に収まらないのであれば、変更が必要になります。

四つ目に、持分に関する事項です。持分のある医療法人が持分のない医療法人へ移行する場合、定款の持分に関する条項を削除するなどの大幅な変更を行うことになります。この移行については、一定の要件を満たして認定を受けることで税負担について優遇を受けられる制度が設けられており、その手続きと併せて進めることになります。

実務上最も注意すべきなのが、認可に要する期間です。所轄庁の審査に一定の期間を要し、内容によっては都道府県の医療審議会の意見を聴く手続きが設けられている場合があります。審議会は年に数回の開催であることが多いため、申請の時期を逃すと数か月の遅れが生じます。承継日を先に決めてから定款変更に着手すると、間に合わないという事態が起こります。

そのため、承継の設計にあたっては、定款変更が必要かどうかを最初に確認することが重要になります。必要であれば、認可に要する期間を確認し、そこから逆算して社員総会の開催日と承継日を決めることになります。二つ以上の都道府県にまたがって医療機関を開設している法人であれば、所轄庁が国の機関となり、手続きの窓口と期間も変わります。

一方で、定款変更を伴わずに承継を実行できる場合もあります。社員の入れ替えと理事の改選のみで経営権を移し、診療所の名称や事業の内容を変えないのであれば、定款の変更は不要です。役員の変更については別に届出が必要ですが、認可を要する定款変更よりは手続きが軽くなります。承継の日程を短くしたい場合は、定款変更を伴わない設計を検討することになります。

デューデリジェンスでは、定款の内容と実際の運営が一致しているかが確認されます。開業から長い年月が経った医療法人では、診療所の名称や所在地が変わっているのに定款が更新されていない、定款に記載のない事業を行っている、古い制度のままの条項が残っているという状態が判明することがあります。これらは承継前に整理しておくべき事項です。

定款変更は、期間の見通しを最初に確認すべき手続きです。所轄庁への事前相談を含めて、医療法人の手続きに詳しい専門家と一緒に進めることをおすすめします。
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