案件概要書
あんけんがいようしょ
案件概要書とは、譲渡の対象となる医院の概要をまとめた資料をいいます。企業のM&Aではインフォメーション・メモランダムと呼ばれ、IMと略されることもあります。クリニックの承継では、秘密保持契約を締結して実名を開示できる状態になった候補者に対し、本格的な検討材料として提示する資料にあたります。
医院名を伏せた概要のみを示すノンネームシートと違い、案件概要書には具体的な情報が記載されます。候補者はこの資料をもとに、譲り受けるかどうかの一次的な判断を行い、意向表明書の提示へ進むかを決めます。したがって、記載内容の正確さと網羅性が、その後の交渉の進み方を大きく左右します。
記載される項目は多岐にわたります。まず医院の基本情報として、名称、所在地、開業年、標榜している診療科目、診療日と診療時間、施設の面積と間取り、駐車場の有無が挙げられます。次に運営体制として、医師の人数と勤務形態、看護師や医療事務スタッフの人数、雇用形態、勤続年数、給与水準を整理します。診療の実態については、一日あたりの患者数、レセプト枚数の推移、診療単価、患者の年齢層、自費診療の比率、主な疾患の構成などが記載されます。
財務については、直近三期から五期程度の売上、経費の内訳、利益の推移を示します。院長への報酬や一時的な費用を調整した正常収益力を併記することもあります。設備については、主要な医療機器の名称、導入年、リースか自己所有かの区分、電子カルテの種類を記載します。契約関係では、テナントの賃貸借契約の期間と賃料、医療機器のリース契約の残存期間、業務委託契約の内容が確認事項になります。
そして承継の条件として、譲渡希望額とその内訳、対象に含む資産と含まない資産、承継を希望する時期、前院長が引継ぎ期間にどの程度診療に関わるか、スタッフの雇用継続を条件とするか、不動産を売却するのか賃貸として残すのかを明示します。この条件面の記載が曖昧だと、候補者は検討を進められません。
医院の案件概要書に特有の注意点として、患者情報の扱いがあります。カルテなどの診療情報は個人情報であり、病歴は要配慮個人情報として厳しい取扱いが求められます。患者数や年齢層、疾患の構成は統計的な形に加工して示し、個人が特定される情報は含めないのが原則です。秘密保持契約を結んでいても、この線は守る必要があります。
作成にあたっては、都合の悪い情報をどう扱うかが問われます。患者数が減少傾向にある、設備が老朽化して数年内に入れ替えが必要、特定の高齢の患者さんに収益が依存している、といった事情を隠して進めても、デューデリジェンスの段階で必ず明らかになります。その時点で発覚すれば信頼を失い、交渉が振り出しに戻るか、価格の大幅な引き下げにつながります。最終契約では表明保証として事実の正確性を約束することになるため、後の責任にも関わります。あらかじめ課題と併せて改善の見通しを示すほうが、結果的に交渉は安定します。
作成に必要な資料は多く、準備には時間がかかります。決算書、レセプトの集計、賃貸借契約書、リース契約書、就業規則、給与台帳、設備の一覧、保健所への届出書類などを揃えることになります。日ごろから整理されている医院ほど作成が早く、交渉も滞りません。反対に資料が散在している場合、この段階で数か月を要することもあります。
案件概要書は、譲渡側が自院を客観的に説明する唯一の資料です。数字を並べるだけでなく、その医院がなぜ地域に必要とされてきたのかが伝わる内容にすることが望まれます。医療分野の承継に慣れた専門家と相談しながら作成することをおすすめします。
医院名を伏せた概要のみを示すノンネームシートと違い、案件概要書には具体的な情報が記載されます。候補者はこの資料をもとに、譲り受けるかどうかの一次的な判断を行い、意向表明書の提示へ進むかを決めます。したがって、記載内容の正確さと網羅性が、その後の交渉の進み方を大きく左右します。
記載される項目は多岐にわたります。まず医院の基本情報として、名称、所在地、開業年、標榜している診療科目、診療日と診療時間、施設の面積と間取り、駐車場の有無が挙げられます。次に運営体制として、医師の人数と勤務形態、看護師や医療事務スタッフの人数、雇用形態、勤続年数、給与水準を整理します。診療の実態については、一日あたりの患者数、レセプト枚数の推移、診療単価、患者の年齢層、自費診療の比率、主な疾患の構成などが記載されます。
財務については、直近三期から五期程度の売上、経費の内訳、利益の推移を示します。院長への報酬や一時的な費用を調整した正常収益力を併記することもあります。設備については、主要な医療機器の名称、導入年、リースか自己所有かの区分、電子カルテの種類を記載します。契約関係では、テナントの賃貸借契約の期間と賃料、医療機器のリース契約の残存期間、業務委託契約の内容が確認事項になります。
そして承継の条件として、譲渡希望額とその内訳、対象に含む資産と含まない資産、承継を希望する時期、前院長が引継ぎ期間にどの程度診療に関わるか、スタッフの雇用継続を条件とするか、不動産を売却するのか賃貸として残すのかを明示します。この条件面の記載が曖昧だと、候補者は検討を進められません。
医院の案件概要書に特有の注意点として、患者情報の扱いがあります。カルテなどの診療情報は個人情報であり、病歴は要配慮個人情報として厳しい取扱いが求められます。患者数や年齢層、疾患の構成は統計的な形に加工して示し、個人が特定される情報は含めないのが原則です。秘密保持契約を結んでいても、この線は守る必要があります。
作成にあたっては、都合の悪い情報をどう扱うかが問われます。患者数が減少傾向にある、設備が老朽化して数年内に入れ替えが必要、特定の高齢の患者さんに収益が依存している、といった事情を隠して進めても、デューデリジェンスの段階で必ず明らかになります。その時点で発覚すれば信頼を失い、交渉が振り出しに戻るか、価格の大幅な引き下げにつながります。最終契約では表明保証として事実の正確性を約束することになるため、後の責任にも関わります。あらかじめ課題と併せて改善の見通しを示すほうが、結果的に交渉は安定します。
作成に必要な資料は多く、準備には時間がかかります。決算書、レセプトの集計、賃貸借契約書、リース契約書、就業規則、給与台帳、設備の一覧、保健所への届出書類などを揃えることになります。日ごろから整理されている医院ほど作成が早く、交渉も滞りません。反対に資料が散在している場合、この段階で数か月を要することもあります。
案件概要書は、譲渡側が自院を客観的に説明する唯一の資料です。数字を並べるだけでなく、その医院がなぜ地域に必要とされてきたのかが伝わる内容にすることが望まれます。医療分野の承継に慣れた専門家と相談しながら作成することをおすすめします。