EBITDA
いーびっとでぃーえー
EBITDAとは、利払い前、税引き前、減価償却前の利益を指す指標です。Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの頭文字を並べた略語で、イービットディーエー、イービッダーなどと読まれます。事業がどれだけ現金を生み出す力を持っているかを示す目安として、M&Aの場面で広く使われています。
算定の考え方は単純です。営業利益に減価償却費を足し戻す方法が簡便法として用いられ、税引前利益に支払利息と減価償却費を加える形で計算することもあります。いずれも、借入の多さや設備投資の時期によって左右されない数字を得ることを狙っています。
この指標が使われる理由は、条件の異なる事業を比べやすくなる点にあります。医院の場合、開業したばかりで医療機器の減価償却費が重くのしかかっている医院と、設備を償却し終えた医院では、同じ売上と患者数でも営業利益はまったく違って見えます。借入が多く支払利息の負担が大きい医院も同様です。減価償却費と支払利息を除いて比べれば、診療そのものが生み出している力を見ることができます。
一方で、医院の評価にEBITDAを用いる際には注意すべき点があります。最も大きいのが、算定の定義が統一されていないことです。減価償却費のうちどこまでを足し戻すのか、リース料をどう扱うのか、営業外の収益を含めるのかによって数字は変わります。譲渡側と承継側が別の定義で計算していると、同じ医院について異なる金額を語ることになります。交渉の場では、まず算定の前提を揃えることが必要です。
もう一つの注意点は、EBITDAが設備投資の必要性を無視した数字であることです。減価償却費を足し戻すということは、設備の消耗を費用として見ないという意味になります。しかし医療機器は実際に老朽化し、いずれ入れ替えが必要です。EBITDAが大きく見えていても、承継後すぐに数千万円の設備投資が必要であれば、手元に残る現金はまったく違います。医院の評価では、主要な医療機器の導入年と使用年数を確認し、将来の投資額を別途見込む作業が欠かせません。
正常化調整も前提になります。個人経営の医院や小規模な医療法人では、院長への報酬額や私的な支出の混在によって利益が動きます。院長への報酬を承継後の妥当な水準に置き換え、院長個人の支出や一時的な費用を取り除いたうえで算定しなければ、意味のある数字になりません。この調整を経た数字を正常化EBITDAと呼ぶこともあります。
医院の承継における実務での位置づけも押さえておきたい点です。規模の大きい医療法人や複数の医療機関を運営する法人の取引では、EBITDAに一定の倍率を掛けるEV-EBITDA倍率法が用いられることがあります。しかしクリニック一施設の承継では、この方法はあまり使われません。比較できる取引事例が公開されておらず、妥当な倍率を設定する根拠が得にくいためです。実務では、時価に引き直した純資産に正常収益力の数年分を上乗せする年買法が中心になります。
そのためEBITDAは、医院の承継においては価格算定の主役ではなく、収益力を把握するための補助的な指標として使われることが多くなります。複数年の推移を見て診療の実力が上向いているのか下向いているのかを確かめる、あるいは複数の候補案件を同じ土俵で比べる、といった用途です。
指標としての性質を理解して使えば、EBITDAは有用な目安になります。ただし数字が大きいことがそのまま良い案件を意味するわけではありません。算定の前提を揃え、設備投資の見込みと合わせて判断すること、そして医療分野に詳しい専門家と確認しながら進めることをおすすめします。
算定の考え方は単純です。営業利益に減価償却費を足し戻す方法が簡便法として用いられ、税引前利益に支払利息と減価償却費を加える形で計算することもあります。いずれも、借入の多さや設備投資の時期によって左右されない数字を得ることを狙っています。
この指標が使われる理由は、条件の異なる事業を比べやすくなる点にあります。医院の場合、開業したばかりで医療機器の減価償却費が重くのしかかっている医院と、設備を償却し終えた医院では、同じ売上と患者数でも営業利益はまったく違って見えます。借入が多く支払利息の負担が大きい医院も同様です。減価償却費と支払利息を除いて比べれば、診療そのものが生み出している力を見ることができます。
一方で、医院の評価にEBITDAを用いる際には注意すべき点があります。最も大きいのが、算定の定義が統一されていないことです。減価償却費のうちどこまでを足し戻すのか、リース料をどう扱うのか、営業外の収益を含めるのかによって数字は変わります。譲渡側と承継側が別の定義で計算していると、同じ医院について異なる金額を語ることになります。交渉の場では、まず算定の前提を揃えることが必要です。
もう一つの注意点は、EBITDAが設備投資の必要性を無視した数字であることです。減価償却費を足し戻すということは、設備の消耗を費用として見ないという意味になります。しかし医療機器は実際に老朽化し、いずれ入れ替えが必要です。EBITDAが大きく見えていても、承継後すぐに数千万円の設備投資が必要であれば、手元に残る現金はまったく違います。医院の評価では、主要な医療機器の導入年と使用年数を確認し、将来の投資額を別途見込む作業が欠かせません。
正常化調整も前提になります。個人経営の医院や小規模な医療法人では、院長への報酬額や私的な支出の混在によって利益が動きます。院長への報酬を承継後の妥当な水準に置き換え、院長個人の支出や一時的な費用を取り除いたうえで算定しなければ、意味のある数字になりません。この調整を経た数字を正常化EBITDAと呼ぶこともあります。
医院の承継における実務での位置づけも押さえておきたい点です。規模の大きい医療法人や複数の医療機関を運営する法人の取引では、EBITDAに一定の倍率を掛けるEV-EBITDA倍率法が用いられることがあります。しかしクリニック一施設の承継では、この方法はあまり使われません。比較できる取引事例が公開されておらず、妥当な倍率を設定する根拠が得にくいためです。実務では、時価に引き直した純資産に正常収益力の数年分を上乗せする年買法が中心になります。
そのためEBITDAは、医院の承継においては価格算定の主役ではなく、収益力を把握するための補助的な指標として使われることが多くなります。複数年の推移を見て診療の実力が上向いているのか下向いているのかを確かめる、あるいは複数の候補案件を同じ土俵で比べる、といった用途です。
指標としての性質を理解して使えば、EBITDAは有用な目安になります。ただし数字が大きいことがそのまま良い案件を意味するわけではありません。算定の前提を揃え、設備投資の見込みと合わせて判断すること、そして医療分野に詳しい専門家と確認しながら進めることをおすすめします。