医療法
いりょうほう
医療法とは、医療を提供する体制の確保や、医療機関の開設と運営、医療法人の制度などについて定める法律をいいます。医院の承継においては、この法律の定めが手続きの枠組みと選べるスキームを決めるため、他業種の事業承継とは異なる進め方が求められる根本の原因になっています。
この法律が定めている内容は幅広く、医療機関の種類と区分、開設や変更に関する手続き、管理者の責務、人員や設備の基準、医療に関する広告の規制、医療法人の制度、そして地域の医療提供体制の計画などが含まれます。医院を運営していれば、日常のあらゆる場面でこの法律の枠組みの中で判断していることになります。
承継に最も大きく影響する定めは、診療所の開設者に関する部分です。診療所の開設者は原則として医師でなければならず、医師でない者が開設する場合には都道府県知事の許可が必要とされています。この構造によって、医院の承継では買い手候補が事実上、開業を考えている医師か既存の医療法人に限られます。資金力のある事業会社が広く参入してくるという構図にはならず、買い手候補の母集団が構造的に小さくなります。マッチングが難しい最大の理由がここにあります。
医療法人の理事長についても、原則として医師が務めることが定められています。所轄庁の認可を受けた場合の例外はありますが、原則として医師であることが求められるため、法人形態であっても承継の相手が限られるという点は変わりません。
開設と廃止の手続きも、この法律に基づきます。診療所を開設する際は所在地の都道府県知事に届出を行い、廃止する際も同様に届出が必要です。承継によって開設者が変わる場合、譲渡側が廃止の届出を、譲受側が開設の届出をそれぞれ行うことになります。この手続き自体は医療法に基づくものですが、保険医療機関の指定は健康保険法に基づく別の制度であり、あらためて申請する必要があります。二つの制度が組み合わさることで、承継の日程が制約を受けます。
医療法人の制度も、この法律に定められています。設立には所轄庁の認可が必要であり、非営利であること、剰余金の配当が禁止されること、行える業務が本来業務と附帯業務の範囲に限られることが定められています。社員総会、理事、理事会、監事といった機関の設計、定款に記載すべき事項、事業報告書などの届出義務も、この法律に基づくものです。
法律の改正が承継のあり方を変えてきた点も押さえておく必要があります。二〇〇七年の改正では、持分のある医療法人を新たに設立できなくなりました。それ以前に設立された法人は経過措置として存続していますが、新設される法人は持分のない類型となります。この改正によって、承継における対価の設計や相続の負担の考え方が大きく変わりました。その後の改正では、理事会の設置が法定化され、医療法人の分割制度が設けられるなど、組織のあり方に関する規定が整備されています。
広告に関する規制も、医院の運営と承継後の集患に直接関わります。事実と異なる内容を示す虚偽の広告、他院より優れていると示す比較優良広告、根拠なく効果を強調する誇大広告は認められていません。患者さんの体験談を掲載すること、治療の前後を写真で示して効果を訴えることも、原則として認められていない手法です。一方で、ウェブサイトについては一定の要件を満たすことで掲載できる範囲が広がる仕組みが設けられています。承継を機にホームページを見直す際は、この枠組みを踏まえた設計が必要になります。
デューデリジェンスの場面では、この法律に基づく手続きが適正に行われてきたかが確認されます。開設の届出の内容が現状と一致しているか、管理者の届出が適切か、広告の内容が規制の範囲内か、医療法人であれば定款と実際の業務が一致しているかといった点です。指導を受けた履歴があれば、承継後に対応の負担が生じる可能性があります。
医療法は、医院の承継における制約の源です。一般的な事業承継の手順をそのまま当てはめると、この法律に基づく要件を見落とすことになります。医療分野の承継に慣れた専門家と進めることをおすすめします。
この法律が定めている内容は幅広く、医療機関の種類と区分、開設や変更に関する手続き、管理者の責務、人員や設備の基準、医療に関する広告の規制、医療法人の制度、そして地域の医療提供体制の計画などが含まれます。医院を運営していれば、日常のあらゆる場面でこの法律の枠組みの中で判断していることになります。
承継に最も大きく影響する定めは、診療所の開設者に関する部分です。診療所の開設者は原則として医師でなければならず、医師でない者が開設する場合には都道府県知事の許可が必要とされています。この構造によって、医院の承継では買い手候補が事実上、開業を考えている医師か既存の医療法人に限られます。資金力のある事業会社が広く参入してくるという構図にはならず、買い手候補の母集団が構造的に小さくなります。マッチングが難しい最大の理由がここにあります。
医療法人の理事長についても、原則として医師が務めることが定められています。所轄庁の認可を受けた場合の例外はありますが、原則として医師であることが求められるため、法人形態であっても承継の相手が限られるという点は変わりません。
開設と廃止の手続きも、この法律に基づきます。診療所を開設する際は所在地の都道府県知事に届出を行い、廃止する際も同様に届出が必要です。承継によって開設者が変わる場合、譲渡側が廃止の届出を、譲受側が開設の届出をそれぞれ行うことになります。この手続き自体は医療法に基づくものですが、保険医療機関の指定は健康保険法に基づく別の制度であり、あらためて申請する必要があります。二つの制度が組み合わさることで、承継の日程が制約を受けます。
医療法人の制度も、この法律に定められています。設立には所轄庁の認可が必要であり、非営利であること、剰余金の配当が禁止されること、行える業務が本来業務と附帯業務の範囲に限られることが定められています。社員総会、理事、理事会、監事といった機関の設計、定款に記載すべき事項、事業報告書などの届出義務も、この法律に基づくものです。
法律の改正が承継のあり方を変えてきた点も押さえておく必要があります。二〇〇七年の改正では、持分のある医療法人を新たに設立できなくなりました。それ以前に設立された法人は経過措置として存続していますが、新設される法人は持分のない類型となります。この改正によって、承継における対価の設計や相続の負担の考え方が大きく変わりました。その後の改正では、理事会の設置が法定化され、医療法人の分割制度が設けられるなど、組織のあり方に関する規定が整備されています。
広告に関する規制も、医院の運営と承継後の集患に直接関わります。事実と異なる内容を示す虚偽の広告、他院より優れていると示す比較優良広告、根拠なく効果を強調する誇大広告は認められていません。患者さんの体験談を掲載すること、治療の前後を写真で示して効果を訴えることも、原則として認められていない手法です。一方で、ウェブサイトについては一定の要件を満たすことで掲載できる範囲が広がる仕組みが設けられています。承継を機にホームページを見直す際は、この枠組みを踏まえた設計が必要になります。
デューデリジェンスの場面では、この法律に基づく手続きが適正に行われてきたかが確認されます。開設の届出の内容が現状と一致しているか、管理者の届出が適切か、広告の内容が規制の範囲内か、医療法人であれば定款と実際の業務が一致しているかといった点です。指導を受けた履歴があれば、承継後に対応の負担が生じる可能性があります。
医療法は、医院の承継における制約の源です。一般的な事業承継の手順をそのまま当てはめると、この法律に基づく要件を見落とすことになります。医療分野の承継に慣れた専門家と進めることをおすすめします。