決算
けっさん
決算とは、一つの事業年度における収支と財産の状況を会計処理によって確定させ、財務に関する書類としてまとめる作業をいいます。医院の承継では、この決算書が譲渡価格の算定の基礎となる最も重要な資料になります。買い手はまず決算書を見て検討に入り、その内容から医院の実態を読み取ろうとします。
医療法人の決算には、他の法人形態にない手続きが伴います。事業年度の終了後、財産目録、貸借対照表、損益計算書などを作成し、監事の監査を受けます。そのうえで社員総会の承認を得て、事業報告書とともに所轄庁へ届け出ることが求められます。あわせて、これらの書類を事務所に備え置き、請求があれば閲覧に応じる義務も課されています。一定の規模を超える医療法人については、会計基準に従った書類の作成や外部による監査が求められる場合もあります。
個人立の診療所の場合は、この届出の制度は適用されません。所得税の確定申告によって収支を確定させることになり、青色申告であれば貸借対照表と損益計算書を作成します。ただし、個人事業では院長個人の資産と医院の資産が混在していることが多く、事業としての財務状態が明確に区分されていない場合があります。
承継の場面で決算書がどう読まれるかを整理しておきます。買い手が確認するのは、まず売上の推移です。単年の金額ではなく、三期から五期程度の推移を見て、増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかを判断します。医院では患者数が自然に減っていく構造があるため、この方向性が将来の収益を測る材料になります。次に費用の内訳です。人件費、医薬品と診療材料の費用、賃料、リース料、外注費、減価償却費といった項目ごとに、水準が妥当かを確認します。
そして重要なのが、利益の額をそのまま受け取らないという読み方です。個人経営の医院や小規模な医療法人では、院長への報酬額や私的な支出の混在によって利益が動きます。院長への報酬を承継後の妥当な水準に置き換え、院長個人の支出や一時的な費用を取り除いたうえで、通常の運営で期待される収益力に引き直す作業が行われます。この調整を経た数字が、譲渡価格の算定の基礎になります。
貸借対照表についても、帳簿の数字が実態を表しているかが確認されます。土地や建物は取得した当時の価格で計上されたままになっていることが多く、時価との差が生じています。医療機器は償却が終わって帳簿上の価値がほとんどないのに実際には使えるという場合があり、逆に帳簿に残っているのに使われていない設備もあります。負債の側では、退職金の引当が計上されていない、残業代の未払いがあるといった帳簿に現れない負担を洗い出す必要があります。
医療法人の決算に特有の論点として、内部留保の蓄積があります。医療法人は剰余金の配当が禁止されているため、毎年の利益が法人の内部に蓄積され続けます。持分のある医療法人であれば、この蓄積が持分の評価額に反映されるため、決算書の純資産の額が承継の負担を直接左右します。長く堅実に運営してきた法人ほど、この額が大きくなります。
決算の時期と承継の日程の関係も、実務上の検討事項です。事業年度の途中で承継を行う場合、その年度の決算は前院長の期間と新院長の期間が混在することになります。医療法人の持分を譲渡する形であれば法人の事業年度は継続するため、期の途中で理事長が交代する形になります。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合は、譲渡側と譲受側それぞれが別に申告を行うことになり、期間の区切りが必要になります。
譲渡側の準備としては、直近数年分の決算書と申告書を揃えておくことが基本です。加えて、レセプトの集計、患者数の推移、給与台帳、契約書といった裏づけとなる資料も併せて整えておきます。決算書の数字と裏づけ資料が整合していれば、交渉は円滑に進みます。医療分野に詳しい税理士に、承継を前提とした資料の整理を依頼しておくことをおすすめします。
医療法人の決算には、他の法人形態にない手続きが伴います。事業年度の終了後、財産目録、貸借対照表、損益計算書などを作成し、監事の監査を受けます。そのうえで社員総会の承認を得て、事業報告書とともに所轄庁へ届け出ることが求められます。あわせて、これらの書類を事務所に備え置き、請求があれば閲覧に応じる義務も課されています。一定の規模を超える医療法人については、会計基準に従った書類の作成や外部による監査が求められる場合もあります。
個人立の診療所の場合は、この届出の制度は適用されません。所得税の確定申告によって収支を確定させることになり、青色申告であれば貸借対照表と損益計算書を作成します。ただし、個人事業では院長個人の資産と医院の資産が混在していることが多く、事業としての財務状態が明確に区分されていない場合があります。
承継の場面で決算書がどう読まれるかを整理しておきます。買い手が確認するのは、まず売上の推移です。単年の金額ではなく、三期から五期程度の推移を見て、増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかを判断します。医院では患者数が自然に減っていく構造があるため、この方向性が将来の収益を測る材料になります。次に費用の内訳です。人件費、医薬品と診療材料の費用、賃料、リース料、外注費、減価償却費といった項目ごとに、水準が妥当かを確認します。
そして重要なのが、利益の額をそのまま受け取らないという読み方です。個人経営の医院や小規模な医療法人では、院長への報酬額や私的な支出の混在によって利益が動きます。院長への報酬を承継後の妥当な水準に置き換え、院長個人の支出や一時的な費用を取り除いたうえで、通常の運営で期待される収益力に引き直す作業が行われます。この調整を経た数字が、譲渡価格の算定の基礎になります。
貸借対照表についても、帳簿の数字が実態を表しているかが確認されます。土地や建物は取得した当時の価格で計上されたままになっていることが多く、時価との差が生じています。医療機器は償却が終わって帳簿上の価値がほとんどないのに実際には使えるという場合があり、逆に帳簿に残っているのに使われていない設備もあります。負債の側では、退職金の引当が計上されていない、残業代の未払いがあるといった帳簿に現れない負担を洗い出す必要があります。
医療法人の決算に特有の論点として、内部留保の蓄積があります。医療法人は剰余金の配当が禁止されているため、毎年の利益が法人の内部に蓄積され続けます。持分のある医療法人であれば、この蓄積が持分の評価額に反映されるため、決算書の純資産の額が承継の負担を直接左右します。長く堅実に運営してきた法人ほど、この額が大きくなります。
決算の時期と承継の日程の関係も、実務上の検討事項です。事業年度の途中で承継を行う場合、その年度の決算は前院長の期間と新院長の期間が混在することになります。医療法人の持分を譲渡する形であれば法人の事業年度は継続するため、期の途中で理事長が交代する形になります。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合は、譲渡側と譲受側それぞれが別に申告を行うことになり、期間の区切りが必要になります。
譲渡側の準備としては、直近数年分の決算書と申告書を揃えておくことが基本です。加えて、レセプトの集計、患者数の推移、給与台帳、契約書といった裏づけとなる資料も併せて整えておきます。決算書の数字と裏づけ資料が整合していれば、交渉は円滑に進みます。医療分野に詳しい税理士に、承継を前提とした資料の整理を依頼しておくことをおすすめします。