源泉徴収
げんせんちょうしゅう
源泉徴収とは、給与や報酬を支払う者が、支払いの際に所得税などを差し引いて国に納付する仕組みをいいます。受け取る側が後からまとめて納めるのではなく、支払う段階で先に徴収するという制度です。医院を運営していれば、雇用主として、あるいは報酬の支払者として、この事務を日常的に行うことになります。
医院で源泉徴収の対象となる支払いを挙げると、まず職員への給与と賞与です。医師、看護師、看護助手、医療事務、放射線技師や臨床検査技師といった職員に支払う給与から、扶養の状況などに応じた税額を差し引きます。年末には一年分の所得税を精算する手続きを行います。次に、退職金の支払いです。退職所得は他の所得と区分して計算されるため、給与とは別の方法で税額を算出します。
外部への支払いも対象になります。税理士や社会保険労務士、弁護士に支払う報酬、講演や執筆を依頼した際の報酬などが該当します。非常勤の医師に支払う対価については、それが雇用に基づく給与なのか、業務委託に基づく報酬なのかによって扱いが変わります。契約の形式が業務委託であっても、実際の勤務の形態が雇用に近ければ給与として扱うべきと判断される可能性があり、この判定を誤ると後から指摘を受けることになります。
承継の場面でこの制度が関わるのは、主に三つの局面です。
第一に、デューデリジェンスにおける確認です。源泉徴収した税額が適正に計算され、期限どおりに納付されてきたかが確認されます。納付が遅れていれば延滞税や不納付加算税が生じ、計算に誤りがあれば不足額の納付が必要になります。医療法人の持分を譲渡する形では法人格が残るため、こうした負担も承継されます。過去の処理に問題があれば、追徴のリスクとして残ります。
特に確認されやすいのが、非常勤医師への支払いの扱いです。業務委託として処理していたものが実質的に給与と判定されれば、源泉徴収の不足として過去にさかのぼった負担が生じます。加えて、社会保険の加入義務についても問題が生じる可能性があります。医院では非常勤の医師に診療を依頼する例が多いため、この点は重点的な確認項目になります。
第二に、承継に伴う支払いの扱いです。院長が受け取る役員退職金は退職所得として源泉徴収の対象になり、法人が税額を計算して差し引いて納付します。この計算には勤続年数などが関わるため、正確に行う必要があります。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、譲渡側でスタッフが退職することになれば、その際の退職金についても同様の処理が生じます。
第三に、承継後の事務の引継ぎです。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、新しい開設者は源泉徴収義務者として新たに手続きを行うことになります。給与支払事務所等の開設に関する届出を税務署に提出し、納期の特例を受けるのであればその申請も行います。譲渡側は事務所の廃止に関する届出を提出します。年末調整については、譲渡側の期間と譲受側の期間をどう扱うかを整理する必要があります。
医療法人の持分を譲渡する形であれば、法人が源泉徴収義務者であり続けるため、これらの届出は不要です。事務の担い手が変わるだけで、制度上の立場は継続します。
実務上の注意点として、医院では源泉徴収に関する事務を院長本人や院長の配偶者が担っていることが少なくありません。承継後はその方が退職するため、誰が引き継ぐのかを決めておく必要があります。外部の税理士や社会保険労務士に委託する場合は、その費用が新たに発生します。この費用は正常収益力の算定にも影響する項目です。
譲渡側の準備としては、直近数年分の納付の記録と年末調整の書類を揃え、計算に誤りがないかを確認しておくことが有効です。非常勤医師への支払いの扱いについても、契約の形式と実際の勤務形態が整合しているかを確かめておきます。医療分野に詳しい税理士や社会保険労務士に確認を依頼しておくことをおすすめします。
医院で源泉徴収の対象となる支払いを挙げると、まず職員への給与と賞与です。医師、看護師、看護助手、医療事務、放射線技師や臨床検査技師といった職員に支払う給与から、扶養の状況などに応じた税額を差し引きます。年末には一年分の所得税を精算する手続きを行います。次に、退職金の支払いです。退職所得は他の所得と区分して計算されるため、給与とは別の方法で税額を算出します。
外部への支払いも対象になります。税理士や社会保険労務士、弁護士に支払う報酬、講演や執筆を依頼した際の報酬などが該当します。非常勤の医師に支払う対価については、それが雇用に基づく給与なのか、業務委託に基づく報酬なのかによって扱いが変わります。契約の形式が業務委託であっても、実際の勤務の形態が雇用に近ければ給与として扱うべきと判断される可能性があり、この判定を誤ると後から指摘を受けることになります。
承継の場面でこの制度が関わるのは、主に三つの局面です。
第一に、デューデリジェンスにおける確認です。源泉徴収した税額が適正に計算され、期限どおりに納付されてきたかが確認されます。納付が遅れていれば延滞税や不納付加算税が生じ、計算に誤りがあれば不足額の納付が必要になります。医療法人の持分を譲渡する形では法人格が残るため、こうした負担も承継されます。過去の処理に問題があれば、追徴のリスクとして残ります。
特に確認されやすいのが、非常勤医師への支払いの扱いです。業務委託として処理していたものが実質的に給与と判定されれば、源泉徴収の不足として過去にさかのぼった負担が生じます。加えて、社会保険の加入義務についても問題が生じる可能性があります。医院では非常勤の医師に診療を依頼する例が多いため、この点は重点的な確認項目になります。
第二に、承継に伴う支払いの扱いです。院長が受け取る役員退職金は退職所得として源泉徴収の対象になり、法人が税額を計算して差し引いて納付します。この計算には勤続年数などが関わるため、正確に行う必要があります。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、譲渡側でスタッフが退職することになれば、その際の退職金についても同様の処理が生じます。
第三に、承継後の事務の引継ぎです。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、新しい開設者は源泉徴収義務者として新たに手続きを行うことになります。給与支払事務所等の開設に関する届出を税務署に提出し、納期の特例を受けるのであればその申請も行います。譲渡側は事務所の廃止に関する届出を提出します。年末調整については、譲渡側の期間と譲受側の期間をどう扱うかを整理する必要があります。
医療法人の持分を譲渡する形であれば、法人が源泉徴収義務者であり続けるため、これらの届出は不要です。事務の担い手が変わるだけで、制度上の立場は継続します。
実務上の注意点として、医院では源泉徴収に関する事務を院長本人や院長の配偶者が担っていることが少なくありません。承継後はその方が退職するため、誰が引き継ぐのかを決めておく必要があります。外部の税理士や社会保険労務士に委託する場合は、その費用が新たに発生します。この費用は正常収益力の算定にも影響する項目です。
譲渡側の準備としては、直近数年分の納付の記録と年末調整の書類を揃え、計算に誤りがないかを確認しておくことが有効です。非常勤医師への支払いの扱いについても、契約の形式と実際の勤務形態が整合しているかを確かめておきます。医療分野に詳しい税理士や社会保険労務士に確認を依頼しておくことをおすすめします。