時価純資産
じかじゅんしさん
時価純資産とは、資産と負債を帳簿上の金額ではなく時価に置き換えて算定した純資産をいいます。医院の承継では、譲渡価格の算定において簿価の純資産ではなくこちらが用いられます。帳簿の数字が取得した当時のままになっていることが多く、そのままでは実態を表さないためです。
引き直しの作業で最初に確認されるのが不動産です。診療所の土地や建物を取得してから長い年月が経っていれば、帳簿の金額と現在の市場価格には大きな差が生じています。取得時より値上がりしていれば含み益となり、時価純資産は簿価より大きくなります。反対に地価が下がっている地域では含み損となり、時価純資産は小さくなります。医院の資産の中で最も金額が大きい項目であるため、この評価が結果を大きく左右します。
建物については、市場価格だけでなく状態の確認も必要です。築年数が経過し、外壁や空調、給排水設備の改修が近い将来必要になるのであれば、その費用を見込んで評価を調整します。バリアフリーへの対応や耐震性が現在の基準に合っていない場合も同様です。承継後に買い手が負担することになる工事費は、実質的に譲渡価格から差し引かれる要素になります。
医療機器の評価は、医院に特有の難しさがあります。帳簿上は償却が終わって残存価額しか計上されていないレントゲン装置や超音波診断装置が、実際にはまだ十分に使えるという状況はよくあります。この場合、実際に使える価値を見て評価を引き上げます。逆に、帳簿には残っているものの型式が古く保守部品の供給が終わっている、あるいは電子カルテのシステムがサポート期限を迎えているという場合は、価値を下げるか、入れ替え費用を負債として見込みます。リース契約中の機器は所有権が医院にないため、資産として計上せず、残りのリース料を負債として整理します。
未収金の扱いも確認事項です。レセプトを請求してから入金までには一定の期間があるため、決算日時点では請求中の金額が資産として計上されています。これは制度上ほぼ確実に入ってくるものですが、審査によって減点され査定される部分があります。過去の査定率を踏まえて調整します。自費診療の未収金や、患者さんの窓口負担で回収できていない分については、回収の見込みを個別に確認します。
負債の側では、帳簿に現れていない負担を洗い出す作業が中心になります。退職金の規定があるのに引当金が計上されていなければ、規定に沿って計算した金額を負債として織り込みます。残業代の未払いがある場合、過去にさかのぼった金額が負担になります。有給休暇の未消化分も同様です。テナントの原状回復義務があれば、その見積額を計上します。係争中の案件を抱えていれば、想定される負担を見込みます。
個人立の診療所では、資産の切り分けが論点になります。院長が個人で保有する自動車や生命保険、自宅の一部を診療所として使っている場合の按分など、医院の資産と院長個人の資産が混在していることが多くあります。承継の対象に含めるものと含めないものを整理しないと、時価純資産の金額そのものが定まりません。
医療法人の場合は、法人格が残るため、洗い出しの範囲が広くなります。過去の税務処理に問題がないか、契約上の負担が残っていないか、保証をしていないかといった点まで確認が及びます。これらは簿外債務として、引き継いだ後に買い手の負担として現れる可能性があります。
時価純資産は、こうした一つ一つの調整の積み上げで決まります。土地の評価をどう採るか、設備の入れ替え費用をどこまで見るかによって金額は動くため、根拠を示せる形で整理しておくことが交渉の場では重要になります。医療分野に詳しい税理士や、必要に応じて不動産の専門家に確認しながら進めることをおすすめします。
引き直しの作業で最初に確認されるのが不動産です。診療所の土地や建物を取得してから長い年月が経っていれば、帳簿の金額と現在の市場価格には大きな差が生じています。取得時より値上がりしていれば含み益となり、時価純資産は簿価より大きくなります。反対に地価が下がっている地域では含み損となり、時価純資産は小さくなります。医院の資産の中で最も金額が大きい項目であるため、この評価が結果を大きく左右します。
建物については、市場価格だけでなく状態の確認も必要です。築年数が経過し、外壁や空調、給排水設備の改修が近い将来必要になるのであれば、その費用を見込んで評価を調整します。バリアフリーへの対応や耐震性が現在の基準に合っていない場合も同様です。承継後に買い手が負担することになる工事費は、実質的に譲渡価格から差し引かれる要素になります。
医療機器の評価は、医院に特有の難しさがあります。帳簿上は償却が終わって残存価額しか計上されていないレントゲン装置や超音波診断装置が、実際にはまだ十分に使えるという状況はよくあります。この場合、実際に使える価値を見て評価を引き上げます。逆に、帳簿には残っているものの型式が古く保守部品の供給が終わっている、あるいは電子カルテのシステムがサポート期限を迎えているという場合は、価値を下げるか、入れ替え費用を負債として見込みます。リース契約中の機器は所有権が医院にないため、資産として計上せず、残りのリース料を負債として整理します。
未収金の扱いも確認事項です。レセプトを請求してから入金までには一定の期間があるため、決算日時点では請求中の金額が資産として計上されています。これは制度上ほぼ確実に入ってくるものですが、審査によって減点され査定される部分があります。過去の査定率を踏まえて調整します。自費診療の未収金や、患者さんの窓口負担で回収できていない分については、回収の見込みを個別に確認します。
負債の側では、帳簿に現れていない負担を洗い出す作業が中心になります。退職金の規定があるのに引当金が計上されていなければ、規定に沿って計算した金額を負債として織り込みます。残業代の未払いがある場合、過去にさかのぼった金額が負担になります。有給休暇の未消化分も同様です。テナントの原状回復義務があれば、その見積額を計上します。係争中の案件を抱えていれば、想定される負担を見込みます。
個人立の診療所では、資産の切り分けが論点になります。院長が個人で保有する自動車や生命保険、自宅の一部を診療所として使っている場合の按分など、医院の資産と院長個人の資産が混在していることが多くあります。承継の対象に含めるものと含めないものを整理しないと、時価純資産の金額そのものが定まりません。
医療法人の場合は、法人格が残るため、洗い出しの範囲が広くなります。過去の税務処理に問題がないか、契約上の負担が残っていないか、保証をしていないかといった点まで確認が及びます。これらは簿外債務として、引き継いだ後に買い手の負担として現れる可能性があります。
時価純資産は、こうした一つ一つの調整の積み上げで決まります。土地の評価をどう採るか、設備の入れ替え費用をどこまで見るかによって金額は動くため、根拠を示せる形で整理しておくことが交渉の場では重要になります。医療分野に詳しい税理士や、必要に応じて不動産の専門家に確認しながら進めることをおすすめします。