最終譲渡契約書
さいしゅうじょうとけいやくしょ
最終譲渡契約書とは、譲渡を実行するために締結する最終的な契約書をいいます。最終契約を書面として表したものであり、実務では取引の類型に応じて契約書の名称と条項の構成が変わります。医院の承継では、対象が個人立の診療所か医療法人かによって、まったく異なる形の契約書が用いられます。
まず、個人立の診療所を引き継ぐ場合です。この形では事業譲渡契約書が用いられます。土地や建物、医療機器、内装、在庫といった資産と、賃貸借契約やリース契約といった契約関係を、個別に選んで移すという構造になるため、契約書には移転する対象を特定する記載が必要になります。承継する資産の一覧を別紙として添付し、一点ずつ列挙するのが実務です。ここに記載されなかったものは移転しないことになるため、漏れがないかの確認が重要になります。
この契約書に固有の条項として、対価の内訳の記載が挙げられます。土地、建物、医療機器、在庫、そして営業権のそれぞれにいくらを割り振るのかを明示します。この内訳は双方の税務に直結します。買い手にとって営業権は税務上の無形固定資産として五年で償却できる資産であり、土地には償却がありません。消費税についても、土地の譲渡は非課税である一方、建物や医療機器、営業権は課税されます。内訳の設定によって双方の負担が変わるため、交渉の対象になります。
契約の承継についての条項も必要です。事業譲渡では契約が自動的には移らないため、賃貸人やリース会社から承諾を得ることを前提条件として定めます。従業員についても、雇用関係は自動的には承継されないため、譲渡側での退職と譲受側での再雇用という手続きを取ることを明記し、勤続年数の扱いや退職金の精算をどうするかを定めます。
次に、持分のある医療法人を引き継ぐ場合です。この形では出資持分譲渡契約書が用いられます。譲渡の対象は法人そのものではなく出資持分であるため、契約書の構造は事業譲渡とはまったく異なります。移転する資産を一つずつ列挙する必要はなく、持分の口数と譲渡価額を定める形になります。法人格が残るため、契約や許認可、雇用関係はそのまま継続します。
そのかわり、この形では表明保証の重みが増します。法人が抱えている債務や潜在的な負担も一緒に承継されるため、買い手は開示されていない負担が存在しないことを譲渡側に保証させる必要があります。過去の税務申告が適正であること、未払いの賃金が存在しないこと、診療報酬の請求について返還を求められる事由がないこと、保証や連帯債務を負っていないことといった項目が、詳細に定められます。
持分のない医療法人、たとえば基金拠出型の場合は、譲渡する対象となる持分が存在しません。そのため、譲渡契約書という形ではなく、社員の入れ替えと役員の変更に関する合意書という形が取られます。社員総会での決議、役員の退任と就任、必要に応じた定款の変更と所轄庁への手続きを、どの順序でいつ行うかを定めます。対価の設計も、持分の譲渡とは異なる整理が必要になります。
合併や分割によって統合する場合は、それぞれ合併契約書、分割契約書という別の書面が用いられます。手続きが重く、所轄庁の認可を要する場合もあるため、クリニック一施設の承継で用いられることは多くありません。
いずれの類型であっても、医院の承継に共通して盛り込むべき条項があります。前院長が承継後にどの程度診療を続けるかという引継ぎに関する取り決め、譲渡後の一定期間について同業を行わないという競業避止義務、そして行政手続きに関する分担です。保険医療機関の指定は自動的には引き継がれないため、個人立の場合は届出と指定申請の日程を契約上明確にしておく必要があります。
契約書の名称は、内容を表す目印にすぎません。重要なのは、選んだスキームに合った構造になっているか、そして合意した条件が正確に反映されているかです。ひな型を流用すると、類型の異なる契約の条項が混在するといった不備が生じます。署名の前に、弁護士と医療分野に詳しい専門家の双方に確認を依頼することをおすすめします。
まず、個人立の診療所を引き継ぐ場合です。この形では事業譲渡契約書が用いられます。土地や建物、医療機器、内装、在庫といった資産と、賃貸借契約やリース契約といった契約関係を、個別に選んで移すという構造になるため、契約書には移転する対象を特定する記載が必要になります。承継する資産の一覧を別紙として添付し、一点ずつ列挙するのが実務です。ここに記載されなかったものは移転しないことになるため、漏れがないかの確認が重要になります。
この契約書に固有の条項として、対価の内訳の記載が挙げられます。土地、建物、医療機器、在庫、そして営業権のそれぞれにいくらを割り振るのかを明示します。この内訳は双方の税務に直結します。買い手にとって営業権は税務上の無形固定資産として五年で償却できる資産であり、土地には償却がありません。消費税についても、土地の譲渡は非課税である一方、建物や医療機器、営業権は課税されます。内訳の設定によって双方の負担が変わるため、交渉の対象になります。
契約の承継についての条項も必要です。事業譲渡では契約が自動的には移らないため、賃貸人やリース会社から承諾を得ることを前提条件として定めます。従業員についても、雇用関係は自動的には承継されないため、譲渡側での退職と譲受側での再雇用という手続きを取ることを明記し、勤続年数の扱いや退職金の精算をどうするかを定めます。
次に、持分のある医療法人を引き継ぐ場合です。この形では出資持分譲渡契約書が用いられます。譲渡の対象は法人そのものではなく出資持分であるため、契約書の構造は事業譲渡とはまったく異なります。移転する資産を一つずつ列挙する必要はなく、持分の口数と譲渡価額を定める形になります。法人格が残るため、契約や許認可、雇用関係はそのまま継続します。
そのかわり、この形では表明保証の重みが増します。法人が抱えている債務や潜在的な負担も一緒に承継されるため、買い手は開示されていない負担が存在しないことを譲渡側に保証させる必要があります。過去の税務申告が適正であること、未払いの賃金が存在しないこと、診療報酬の請求について返還を求められる事由がないこと、保証や連帯債務を負っていないことといった項目が、詳細に定められます。
持分のない医療法人、たとえば基金拠出型の場合は、譲渡する対象となる持分が存在しません。そのため、譲渡契約書という形ではなく、社員の入れ替えと役員の変更に関する合意書という形が取られます。社員総会での決議、役員の退任と就任、必要に応じた定款の変更と所轄庁への手続きを、どの順序でいつ行うかを定めます。対価の設計も、持分の譲渡とは異なる整理が必要になります。
合併や分割によって統合する場合は、それぞれ合併契約書、分割契約書という別の書面が用いられます。手続きが重く、所轄庁の認可を要する場合もあるため、クリニック一施設の承継で用いられることは多くありません。
いずれの類型であっても、医院の承継に共通して盛り込むべき条項があります。前院長が承継後にどの程度診療を続けるかという引継ぎに関する取り決め、譲渡後の一定期間について同業を行わないという競業避止義務、そして行政手続きに関する分担です。保険医療機関の指定は自動的には引き継がれないため、個人立の場合は届出と指定申請の日程を契約上明確にしておく必要があります。
契約書の名称は、内容を表す目印にすぎません。重要なのは、選んだスキームに合った構造になっているか、そして合意した条件が正確に反映されているかです。ひな型を流用すると、類型の異なる契約の条項が混在するといった不備が生じます。署名の前に、弁護士と医療分野に詳しい専門家の双方に確認を依頼することをおすすめします。