診療圏調査
しんりょうけんちょうさ
診療圏調査とは、医院に患者さんが来院すると見込まれる地理的な範囲について、人口や競合の状況を調べる調査をいいます。新規開業の場面で立地を決める際に行われるものとして知られていますが、医院の承継においても、引き継ぐ医院の将来性を判断する材料として重要な意味を持ちます。
診療圏は、通院にかかる距離や時間をもとに設定されます。徒歩や自転車で通える近い範囲を一次診療圏、自動車や公共交通機関を使って通う範囲を二次診療圏として区分することが一般的です。診療科によって範囲は変わり、内科や小児科のように日常的に受診する診療科は近い範囲が中心になり、専門性の高い診療科や自費診療を扱う医院では、より広い範囲から患者さんが来院します。
調査で確認する項目の中心は人口です。診療圏に住んでいる人の数、年齢構成、世帯の構成を把握します。国勢調査や自治体が公表している統計が基礎資料になります。ここで重要なのが、現在の人口だけでなく将来の推移を見ることです。住宅開発が進んで子育て世代が増えている地域と、高齢化が進み人口が減少している地域では、同じ患者数の医院であっても将来像がまったく違います。承継では長期にわたって運営することを前提とするため、この推移の確認が欠かせません。
年齢構成は、診療科ごとの需要に直結します。小児科であれば十五歳未満の人口、内科や整形外科であれば高齢者の人口が重要な指標になります。地域全体の人口が減っていても、対象となる年齢層が増えていれば需要は維持されます。逆に人口が横ばいでも、若年層が流出して高齢化が進んでいれば、小児科の需要は下がります。
競合の状況も調査の対象です。診療圏内に同じ診療科の医院がいくつあるか、どこに位置しているか、診療日と診療時間はどうなっているか、規模や設備はどうかを確認します。加えて、それぞれの医院の院長の年齢も実務上は意味のある情報になります。近隣に高齢の院長が運営する医院があれば、数年内に閉院して患者さんの受け入れ先が必要になる可能性があります。逆に、若い医師が新しく開業したばかりであれば、長期にわたって競合が続くことになります。
交通の導線と施設の分布も見ます。最寄り駅からの経路、バス停の位置、幹線道路との関係、駐車場の有無と台数が来院のしやすさを決めます。周辺に薬局があるか、大型の商業施設や学校、企業、介護施設があるかといった要素も、患者さんの流れに関わります。
これらの情報を組み合わせて、推計される患者数を算出する手法があります。診療圏の人口に、その年齢層の受療率を掛け、競合の数で分け合うという考え方で概算を出す方法です。ただしこの推計は目安にとどまります。医院の評判、院長の専門性、患者さんの通院習慣といった要素は数式に入らないため、実際の患者数と乖離することが少なくありません。
承継の場面では、この推計と実際の患者数を比べることに意味があります。推計より実際の患者数が多いのであれば、その医院は診療圏の条件以上に選ばれているということであり、のれん代として評価される価値が存在します。逆に推計より少ない場合は、改善の余地があるのか、それとも把握できていない不利な要因があるのかを確かめる必要があります。
承継特有の確認事項として、現在通院している患者さんがどこから来ているかを見ることも重要です。カルテの住所を集計すれば、実際の診療圏が見えてきます。想定より広い範囲から来院しているのであれば、それは院長個人が選ばれている可能性を示します。その場合、院長が変わったときに患者さんが残るかどうかは慎重に判断する必要があります。
診療圏調査は、承継後の運営を数年から十数年という単位で見通すための作業です。医院の現状を示す数字と組み合わせて読むことで、判断の精度が上がります。開業支援に詳しい専門家や、医療分野の承継を扱う専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
診療圏は、通院にかかる距離や時間をもとに設定されます。徒歩や自転車で通える近い範囲を一次診療圏、自動車や公共交通機関を使って通う範囲を二次診療圏として区分することが一般的です。診療科によって範囲は変わり、内科や小児科のように日常的に受診する診療科は近い範囲が中心になり、専門性の高い診療科や自費診療を扱う医院では、より広い範囲から患者さんが来院します。
調査で確認する項目の中心は人口です。診療圏に住んでいる人の数、年齢構成、世帯の構成を把握します。国勢調査や自治体が公表している統計が基礎資料になります。ここで重要なのが、現在の人口だけでなく将来の推移を見ることです。住宅開発が進んで子育て世代が増えている地域と、高齢化が進み人口が減少している地域では、同じ患者数の医院であっても将来像がまったく違います。承継では長期にわたって運営することを前提とするため、この推移の確認が欠かせません。
年齢構成は、診療科ごとの需要に直結します。小児科であれば十五歳未満の人口、内科や整形外科であれば高齢者の人口が重要な指標になります。地域全体の人口が減っていても、対象となる年齢層が増えていれば需要は維持されます。逆に人口が横ばいでも、若年層が流出して高齢化が進んでいれば、小児科の需要は下がります。
競合の状況も調査の対象です。診療圏内に同じ診療科の医院がいくつあるか、どこに位置しているか、診療日と診療時間はどうなっているか、規模や設備はどうかを確認します。加えて、それぞれの医院の院長の年齢も実務上は意味のある情報になります。近隣に高齢の院長が運営する医院があれば、数年内に閉院して患者さんの受け入れ先が必要になる可能性があります。逆に、若い医師が新しく開業したばかりであれば、長期にわたって競合が続くことになります。
交通の導線と施設の分布も見ます。最寄り駅からの経路、バス停の位置、幹線道路との関係、駐車場の有無と台数が来院のしやすさを決めます。周辺に薬局があるか、大型の商業施設や学校、企業、介護施設があるかといった要素も、患者さんの流れに関わります。
これらの情報を組み合わせて、推計される患者数を算出する手法があります。診療圏の人口に、その年齢層の受療率を掛け、競合の数で分け合うという考え方で概算を出す方法です。ただしこの推計は目安にとどまります。医院の評判、院長の専門性、患者さんの通院習慣といった要素は数式に入らないため、実際の患者数と乖離することが少なくありません。
承継の場面では、この推計と実際の患者数を比べることに意味があります。推計より実際の患者数が多いのであれば、その医院は診療圏の条件以上に選ばれているということであり、のれん代として評価される価値が存在します。逆に推計より少ない場合は、改善の余地があるのか、それとも把握できていない不利な要因があるのかを確かめる必要があります。
承継特有の確認事項として、現在通院している患者さんがどこから来ているかを見ることも重要です。カルテの住所を集計すれば、実際の診療圏が見えてきます。想定より広い範囲から来院しているのであれば、それは院長個人が選ばれている可能性を示します。その場合、院長が変わったときに患者さんが残るかどうかは慎重に判断する必要があります。
診療圏調査は、承継後の運営を数年から十数年という単位で見通すための作業です。医院の現状を示す数字と組み合わせて読むことで、判断の精度が上がります。開業支援に詳しい専門家や、医療分野の承継を扱う専門家に相談しながら進めることをおすすめします。