基本合意書(MOU)
きほんごういしょ
基本合意書とは、取引の方向性や主要な条件を整理した文書をいいます。英語のMemorandum of Understandingを略してMOUと呼ばれます。医院の承継では、基本合意契約と同じ趣旨で用いられる文書であり、内容としてはほぼ同じものを指します。
呼称が複数あることについて、まず整理しておきます。基本合意書、基本合意契約書、覚書、MOU、そしてLOIと呼ばれる意向表明書。これらは実務上、区別が厳密ではありません。契約書という名称であれば拘束力があり、覚書であればないというような、名称による性質の違いは存在しません。文書のタイトルが何であるかによって効力が決まるのではなく、記載されている条項の内容によって決まります。この点を誤解していると、覚書だから軽いものだと考えて署名し、後に拘束されることになります。
したがって、この種の文書を扱う際に最も重要なのは、条項ごとに拘束力があるかを確認することです。実務では、拘束力を持つ条項と持たない条項を明確に分けて記載する形が取られます。
拘束力を持たせないのが通例なのは、取引そのものに関する部分です。譲渡価格の水準、譲渡の対象、承継の時期といった条件は、デューデリジェンスの結果によって変わります。この段階で確定させてしまうと、調査で想定外の事実が判明した場合に対応できなくなります。そのため「本書は最終契約の締結を義務づけるものではない」という趣旨の条項が置かれます。
一方で、拘束力を持たせるのが通例の条項もあります。秘密保持に関する条項がその代表です。医院の承継では、医院名や院長の交代予定が地域に漏れると患者さんの通院控えやスタッフの離職につながるため、この部分の効力は欠かせません。次に、独占的に交渉する期間に関する条項です。一定期間は他の候補者と交渉しないという取り決めであり、買い手が調査に費用をかける前提となります。さらに、費用の負担に関する条項、誠実に協議する義務に関する条項、準拠する法律と紛争の解決方法に関する条項が、拘束力を持つ範囲に含められます。
医院の承継においてこの文書を確認する際の実務上の要点をいくつか挙げます。まず独占交渉の期間です。買い手にとっては調査を行う安心が得られる一方、譲渡側にとってはその期間中に他の候補者と話を進められなくなります。期間が長すぎると、条件が折り合わなかった場合に時間を失います。三か月から半年程度で設定されることが多く、延長の条件も併せて確認します。
次に、価格の調整に関する記載です。デューデリジェンスの結果によって価格を見直すという前提を置く場合、どのような事実が判明したときにどの程度の調整を行うのかという考え方を、あらかじめ共有しておくと後の交渉が円滑になります。簿外債務が発見された場合の扱いを含めて整理しておきます。
さらに、最終契約に至らなかった場合の取り決めです。それまでに開示した資料の返却や破棄、支出した費用の負担、そして秘密保持義務が引き続き有効であることを確認します。医院の場合、開示した資料には診療実績や患者層に関する情報が含まれるため、この確認は重要です。
医院の承継に固有の項目として、行政手続きに関する記載を入れておくことにも意味があります。保険医療機関の指定は自動的には引き継がれず、その手続きの日程が承継全体のスケジュールを左右します。日程の前提を文書に残しておけば、後に認識の食い違いが生じにくくなります。
なお、規模のそれほど大きくない医院の承継では、この段階の文書を省略し、条件のすり合わせから直接最終契約へ進む例もあります。それでも、デューデリジェンスに入る前に条件の大枠を文書で確認しておくことは、双方にとって意味のある工程です。
呼称にかかわらず、署名する前に条項ごとの拘束力を確認することが要点になります。弁護士や医療分野に詳しい専門家に内容を確認してもらうことをおすすめします。
呼称が複数あることについて、まず整理しておきます。基本合意書、基本合意契約書、覚書、MOU、そしてLOIと呼ばれる意向表明書。これらは実務上、区別が厳密ではありません。契約書という名称であれば拘束力があり、覚書であればないというような、名称による性質の違いは存在しません。文書のタイトルが何であるかによって効力が決まるのではなく、記載されている条項の内容によって決まります。この点を誤解していると、覚書だから軽いものだと考えて署名し、後に拘束されることになります。
したがって、この種の文書を扱う際に最も重要なのは、条項ごとに拘束力があるかを確認することです。実務では、拘束力を持つ条項と持たない条項を明確に分けて記載する形が取られます。
拘束力を持たせないのが通例なのは、取引そのものに関する部分です。譲渡価格の水準、譲渡の対象、承継の時期といった条件は、デューデリジェンスの結果によって変わります。この段階で確定させてしまうと、調査で想定外の事実が判明した場合に対応できなくなります。そのため「本書は最終契約の締結を義務づけるものではない」という趣旨の条項が置かれます。
一方で、拘束力を持たせるのが通例の条項もあります。秘密保持に関する条項がその代表です。医院の承継では、医院名や院長の交代予定が地域に漏れると患者さんの通院控えやスタッフの離職につながるため、この部分の効力は欠かせません。次に、独占的に交渉する期間に関する条項です。一定期間は他の候補者と交渉しないという取り決めであり、買い手が調査に費用をかける前提となります。さらに、費用の負担に関する条項、誠実に協議する義務に関する条項、準拠する法律と紛争の解決方法に関する条項が、拘束力を持つ範囲に含められます。
医院の承継においてこの文書を確認する際の実務上の要点をいくつか挙げます。まず独占交渉の期間です。買い手にとっては調査を行う安心が得られる一方、譲渡側にとってはその期間中に他の候補者と話を進められなくなります。期間が長すぎると、条件が折り合わなかった場合に時間を失います。三か月から半年程度で設定されることが多く、延長の条件も併せて確認します。
次に、価格の調整に関する記載です。デューデリジェンスの結果によって価格を見直すという前提を置く場合、どのような事実が判明したときにどの程度の調整を行うのかという考え方を、あらかじめ共有しておくと後の交渉が円滑になります。簿外債務が発見された場合の扱いを含めて整理しておきます。
さらに、最終契約に至らなかった場合の取り決めです。それまでに開示した資料の返却や破棄、支出した費用の負担、そして秘密保持義務が引き続き有効であることを確認します。医院の場合、開示した資料には診療実績や患者層に関する情報が含まれるため、この確認は重要です。
医院の承継に固有の項目として、行政手続きに関する記載を入れておくことにも意味があります。保険医療機関の指定は自動的には引き継がれず、その手続きの日程が承継全体のスケジュールを左右します。日程の前提を文書に残しておけば、後に認識の食い違いが生じにくくなります。
なお、規模のそれほど大きくない医院の承継では、この段階の文書を省略し、条件のすり合わせから直接最終契約へ進む例もあります。それでも、デューデリジェンスに入る前に条件の大枠を文書で確認しておくことは、双方にとって意味のある工程です。
呼称にかかわらず、署名する前に条項ごとの拘束力を確認することが要点になります。弁護士や医療分野に詳しい専門家に内容を確認してもらうことをおすすめします。