レーマン方式|医療機関のM&A、譲渡、売却をお考えの皆様へ

レーマン方式

れーまんほうしき

レーマン方式

れーまんほうしき

レーマン方式とは、取引金額に応じて手数料の料率が段階的に変わる、成功報酬の算定方式をいいます。リーマン方式と表記されることもあります。M&Aの仲介やアドバイザーの報酬体系として広く用いられており、医院の承継においても、多くの事業者がこの方式を採用しています。

仕組みは階段状になっています。取引金額のうち一定の範囲までは高い料率を適用し、その範囲を超えた部分には次の段階の低い料率を適用するという計算です。一般に用いられる区分では、五億円以下の部分に五パーセント、五億円を超えて十億円以下の部分に四パーセント、十億円を超えて五十億円以下の部分に三パーセント、五十億円を超えて百億円以下の部分に二パーセント、百億円を超える部分に一パーセントという料率が設定されます。

この方式が使われる理由は、取引の規模と報酬のつり合いを取ることにあります。規模の大きい取引では報酬の絶対額が大きくなりすぎるため、段階的に料率を下げることで妥当な水準に収めます。一方で、小規模な取引では料率が高くなるため、事業者としても取り組む意義が生まれます。

医院の承継においてこの方式を理解するうえで、最も重要な点があります。それは、クリニック一施設の承継では、ほとんどの案件が最初の段階に収まるということです。譲渡金額が五億円を超えることはまれであるため、実質的には一律の料率が適用されるのと変わりません。段階的に料率が下がるという仕組みの利点は、この規模では働きません。

そしてより実務的に重要なのが、最低報酬額の存在です。多くの事業者が最低報酬額を定めており、料率による計算額がその金額を下回る場合は、最低報酬額が適用されます。医院の承継で譲渡金額が数千万円という規模であれば、料率で計算した額が最低報酬額を下回ることは十分にあり得ます。その場合、料率がいくらであるかは意味を持たず、最低報酬額がそのまま支払額になります。事業者を比較する際は、料率ではなく最低報酬額を確認することが実質的な比較になります。

もう一つ確認すべきなのが、算定の基礎となる取引金額の定義です。ここが事業者によって大きく異なり、支払額に直結します。考え方としては、譲渡対価そのものを基礎とする方式、引き継ぐ負債を加えた金額を基礎とする方式、そして対象となる資産の総額を基礎とする方式があります。

医院の場合、この違いが具体的な差になって現れます。たとえば譲渡対価が五千万円で、引き継ぐ借入が五千万円ある医院を考えます。譲渡対価を基礎とする方式であれば計算の対象は五千万円ですが、負債を加える方式では一億円となり、報酬は二倍になります。不動産を含む案件では金額の規模が大きくなるため、この差はさらに広がります。契約書に何が算定の基礎として書かれているかを確認しないまま依頼すると、想定を大きく超える請求を受けることになります。

また、譲渡側と承継側の双方が負担するのかという点も確認事項です。双方の間に立つ仲介という形では、両方から報酬を受け取る構造になることがあります。自分がいくら負担するのかを契約書で明確にしておく必要があります。

支払いの時期についても確認します。何をもって成立とするかという定義が、最終契約の締結なのかクロージングの完了なのかによって、支払いのタイミングが変わります。医院の承継では最終契約の後に行政手続きが控えており、保険医療機関の指定が想定どおり進まないという事態も起こり得ます。

依頼する前の実務的な進め方としては、想定される譲渡金額を伝えて、具体的にいくらの報酬になるかを試算してもらうことです。料率表を見るだけでは実際の負担が分かりません。複数の事業者に同じ条件で試算を依頼すれば、比較ができます。

レーマン方式は業界で標準的な仕組みですが、医院の承継の規模では最低報酬額と算定基礎の定義が実質的な論点になります。契約前に試算を求め、条件を確認することをおすすめします。
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