就業規則
しゅうぎょうきそく
就業規則とは、労働時間、服務規律、休職や退職、懲戒といった職場のルールを定めた規程をいいます。労働基準法により、常時十人以上の労働者を使用する事業場では作成して労働基準監督署に届け出る義務があり、変更した場合も同様に届出が必要です。医院の承継では、デューデリジェンスの労務の領域で必ず確認される書類になります。
医院において就業規則が問題になりやすいのは、規模の面で境目に位置することが多いためです。医師、看護師、看護助手、医療事務、放射線技師や臨床検査技師といった職種を合わせて、十人を前後する診療所は少なくありません。開業当初は数人だったのが、患者数の増加とともに人員が増え、いつの間にか義務の対象になっていたという状況が起こります。作成していない、あるいは作成したものの届出をしていないという状態が判明することがあります。
より深刻な問題は、規程と実際の運用が乖離していることです。医院では、診療が長引いて終業時刻を過ぎることが日常的にあります。しかし就業規則に定められた労働時間のとおりに記録が付けられ、実際の残業が記録に残っていないという運用になっていると、後から未払残業代として請求される可能性があります。請求できる期間は法律の改正によって延長されており、スタッフの人数と勤続年数を考えると、金額は相当な額になり得ます。医療法人を引き継ぐ形では法人格が残るため、この負担もそのまま承継されます。
医院に特有の記載事項として、シフトと診療体制に関わる部分があります。休診日と診療時間、昼休みの扱い、土曜診療の運用、時間外の対応や当直の有無、オンコールの体制といった内容です。特に休憩時間については、医院では患者さんの対応で実際には休めていないという実態が生じやすく、記録と運用の一致が問われます。変形労働時間制を採用している場合は、その要件を満たしているかも確認事項になります。
職種ごとの取り扱いも整理が必要です。医師と看護師と医療事務では、労働時間の性質も求められる業務も異なります。非常勤やパートタイムのスタッフが多い医院では、その方々に適用される規程が整備されているかが問われます。正職員のみを想定した規程しかないという状態は珍しくありません。
医療機関としての規律に関する定めも重要です。患者さんの個人情報とカルテの取扱い、守秘義務、感染症への対応と職員の健康管理、院内での私物の持ち込みや撮影の制限といった項目です。病歴は要配慮個人情報として厳しい取扱いが求められるため、情報管理に関する規律を明記しておくことが求められます。
ハラスメントに関する定めも欠かせません。医院は少人数の職場であり、院長との関係が近いため、問題が生じた際に相談先が院内にないという状況が起こりやすくなります。相談の窓口と対応の手順を規程に置いておくことが、承継後の運営にも役立ちます。
承継の場面での扱いは、スキームによって変わります。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、雇用関係は自動的には承継されず、譲渡側での退職と譲受側での再雇用という形をとるのが原則です。この際、新しい開設者が就業規則を作成することになりますが、労働条件を不利益に変更する場合には慎重な手続きが必要です。医療法人の持分を譲渡する形では、法人がそのまま存続するため、就業規則も引き続き適用されます。
譲渡側としての準備は、承継の交渉に入る前に着手しておくのが望ましいです。就業規則が存在するか、届出が済んでいるか、記載内容が現在の運用と一致しているかを確認します。乖離が見つかった場合は、勤務時間の記録の運用を改めるところから始めます。この整理ができている医院は、デューデリジェンスで問題が指摘されにくく、価格の調整も生じにくくなります。
就業規則は、承継の場面で最も指摘を受けやすい書類の一つです。社会保険労務士や医療分野に詳しい専門家に、現状の確認を依頼しておくことをおすすめします。
医院において就業規則が問題になりやすいのは、規模の面で境目に位置することが多いためです。医師、看護師、看護助手、医療事務、放射線技師や臨床検査技師といった職種を合わせて、十人を前後する診療所は少なくありません。開業当初は数人だったのが、患者数の増加とともに人員が増え、いつの間にか義務の対象になっていたという状況が起こります。作成していない、あるいは作成したものの届出をしていないという状態が判明することがあります。
より深刻な問題は、規程と実際の運用が乖離していることです。医院では、診療が長引いて終業時刻を過ぎることが日常的にあります。しかし就業規則に定められた労働時間のとおりに記録が付けられ、実際の残業が記録に残っていないという運用になっていると、後から未払残業代として請求される可能性があります。請求できる期間は法律の改正によって延長されており、スタッフの人数と勤続年数を考えると、金額は相当な額になり得ます。医療法人を引き継ぐ形では法人格が残るため、この負担もそのまま承継されます。
医院に特有の記載事項として、シフトと診療体制に関わる部分があります。休診日と診療時間、昼休みの扱い、土曜診療の運用、時間外の対応や当直の有無、オンコールの体制といった内容です。特に休憩時間については、医院では患者さんの対応で実際には休めていないという実態が生じやすく、記録と運用の一致が問われます。変形労働時間制を採用している場合は、その要件を満たしているかも確認事項になります。
職種ごとの取り扱いも整理が必要です。医師と看護師と医療事務では、労働時間の性質も求められる業務も異なります。非常勤やパートタイムのスタッフが多い医院では、その方々に適用される規程が整備されているかが問われます。正職員のみを想定した規程しかないという状態は珍しくありません。
医療機関としての規律に関する定めも重要です。患者さんの個人情報とカルテの取扱い、守秘義務、感染症への対応と職員の健康管理、院内での私物の持ち込みや撮影の制限といった項目です。病歴は要配慮個人情報として厳しい取扱いが求められるため、情報管理に関する規律を明記しておくことが求められます。
ハラスメントに関する定めも欠かせません。医院は少人数の職場であり、院長との関係が近いため、問題が生じた際に相談先が院内にないという状況が起こりやすくなります。相談の窓口と対応の手順を規程に置いておくことが、承継後の運営にも役立ちます。
承継の場面での扱いは、スキームによって変わります。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、雇用関係は自動的には承継されず、譲渡側での退職と譲受側での再雇用という形をとるのが原則です。この際、新しい開設者が就業規則を作成することになりますが、労働条件を不利益に変更する場合には慎重な手続きが必要です。医療法人の持分を譲渡する形では、法人がそのまま存続するため、就業規則も引き続き適用されます。
譲渡側としての準備は、承継の交渉に入る前に着手しておくのが望ましいです。就業規則が存在するか、届出が済んでいるか、記載内容が現在の運用と一致しているかを確認します。乖離が見つかった場合は、勤務時間の記録の運用を改めるところから始めます。この整理ができている医院は、デューデリジェンスで問題が指摘されにくく、価格の調整も生じにくくなります。
就業規則は、承継の場面で最も指摘を受けやすい書類の一つです。社会保険労務士や医療分野に詳しい専門家に、現状の確認を依頼しておくことをおすすめします。