業務委託契約|医療機関のM&A、譲渡、売却をお考えの皆様へ

業務委託契約

ぎょうむいたくけいやく

業務委託契約

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業務委託契約とは、特定の業務を外部に委託するための契約をいいます。医院では、診療そのものを除いた多くの業務が外部に委託されており、承継の場面ではこれらの契約を引き継げるかどうかが確認の対象になります。

医院が委託している業務は多岐にわたります。レセプトの点検や請求の代行、経理や給与計算といった事務、臨床検査の外部委託、医療廃棄物の収集と処理、清掃とリネンの管理、医療機器の保守点検、電子カルテのシステム保守、ホームページの制作と運用、給食の提供、駐車場の管理、そして非常勤医師への診療の委託などです。診療所の規模でも、十を超える契約を結んでいることは珍しくありません。

承継における扱いは、スキームによって変わります。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、契約は自動的には移りません。委託先ごとに引継ぎの承諾を得る必要があり、一つずつ手続きを進めることになります。委託先が引継ぎを拒む、あるいは条件の見直しを求める場合もあります。医療法人の持分を譲渡する形であれば、契約の当事者が変わらないため原則としてそのまま継続しますが、チェンジ・オブ・コントロール条項が置かれている契約については承諾が必要になることがあります。

デューデリジェンスで確認される項目を挙げると、まず契約の一覧が正確に把握されているかという点です。開業から長い年月が経った医院では、契約書が見つからない、口約束で運用されている、担当者が代わって内容が分からなくなっているという状態が生じがちです。原本がなければ条件を確認できず、承継の直前に問題が発覚することになります。

次に、委託料の水準です。近隣の相場や他社の見積りと比べて妥当かを確認します。長年同じ業者に委託していると、条件が見直されないまま高い水準で続いていることがあります。承継後に見直せる余地があるのであれば、それは買い手にとって収益改善の材料になります。

契約期間と解約の条件も確認事項です。自動更新の条項があるか、中途解約に予告期間や違約金が定められているかという点です。承継後に委託先を変えたいと考えても、長期の拘束や高額な解約金があれば実行できません。

そして医院の業務委託契約で特に重要なのが、個人情報の取扱いに関する定めです。レセプトの請求代行や電子カルテの保守を委託する場合、委託先が患者さんの情報に触れることになります。カルテなどの診療情報は個人情報であり、なかでも病歴は要配慮個人情報として厳しい取扱いが求められます。委託にあたっては、委託先を適切に監督する責任が医院の側に生じます。契約に秘密保持、目的外利用の禁止、再委託の制限、事故が生じた際の報告と責任の分担が定められているかを確認します。

再委託の扱いは見落とされやすい部分です。委託先がさらに別の業者に業務を回している場合、その先の管理まで及ばなくなります。再委託を認めるのであれば、事前の承諾を要件とし、同等の義務を負わせる形にしておく必要があります。

責任の分界も確認します。委託した業務に不備があった場合、どこまでが委託先の責任で、どこからが医院の責任なのかという整理です。レセプトの請求に誤りがあって返還を求められた場合、その負担を誰が負うのかは実務上の争点になります。

MS法人との契約は、別途の注意を要します。医療機関の周辺業務を担う法人が院長やその家族が実質的に保有する法人である場合、その委託料が世間相場を大きく超えていれば、実質的な利益移転とみなされて税務上否認されるリスクがあります。業務の実態がないまま対価だけが支払われている場合も同様です。承継の場面では、この取引条件の妥当性と契約書の整備状況が確認されます。過去にさかのぼって追徴課税が生じれば、法人を引き継ぐ形では買い手の負担になります。

非常勤医師との契約についても確認が必要です。業務委託の形をとっているものの実態は雇用に近いという場合、労務や社会保険の扱いをめぐって問題が生じる可能性があります。

業務委託契約は、一つずつは小さくても数が多く、積み上がると承継の作業量に大きく影響します。契約の一覧と原本を早い段階で整えておくことを、医療分野に詳しい専門家と一緒に進めることをおすすめします。
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