ステークホルダー|医療機関のM&A、譲渡、売却をお考えの皆様へ

ステークホルダー

すてーくほるだー

ステークホルダー

すてーくほるだー

ステークホルダーとは、ある組織の活動に利害や関わりを持つ関係者の総称です。利害関係者と訳されます。医院の承継では、当事者である院長と後継者だけでなく、承継の影響を受ける人や組織が広く含まれ、その範囲は一般の企業よりも広く複雑になります。

最も重要なステークホルダーは患者さんです。医院の承継は、通院している方にとって主治医が変わるという出来事にあたります。長く同じ医師に診てもらってきた方であれば、不安を感じるのは当然です。慢性疾患で定期的に受診している方、在宅医療を受けている方にとっては、生活に直結する変化になります。承継の設計において、患者さんに不利益が生じないよう診療の継続性を確保することが最優先の課題になります。承継が確定する前に情報が漏れると通院を控える方が出るため、公表の時期と伝え方にも配慮が必要です。

次に挙げられるのがスタッフです。看護師、医療事務、看護助手といった職員にとって、院長の交代は雇用と職場環境の変化を意味します。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、雇用関係は自動的には承継されず、譲渡側での退職と譲受側での再雇用という形をとるのが原則です。勤続年数の扱い、有給休暇の残日数、退職金の精算をどうするかを決めておく必要があります。長く勤めてきたスタッフが残ってくれるかどうかは、承継後の運営を大きく左右します。

金融機関も重要な関係者です。医院に借入がある場合、承継に伴って債務をどう扱うかについて金融機関の理解が必要になります。買い手の側も、譲渡対価を借入で調達するのであれば審査を受けることになります。承継の日程は融資の実行時期に左右されるため、早い段階から相談しておくことが求められます。

取引先も含まれます。医薬品卸、医療機器メーカーと保守業者、検査を委託している臨床検査会社、電子カルテのベンダー、医療廃棄物の処理業者、清掃やリネンの業者などです。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、これらの契約は自動的には移らないため、個別に引き継ぎの手続きが必要になります。テナントで診療している場合は、賃貸借契約の名義変更について貸主の承諾を得なければなりません。

医療機関に特有の関係者として、地域の医師会があります。加入の形態や役割は地域によって異なりますが、休日夜間診療の当番、学校医や園医の担当、予防接種や健診の受託、地域の連携体制への参加といった役割を担っている場合、承継に伴って引き継ぐかどうかを整理する必要があります。前院長が挨拶に同行することで、関係が保たれやすくなります。

連携している病院や介護事業者も欠かせません。患者さんを紹介し合っている関係、在宅医療で連携している訪問看護ステーションやケアマネジャー、入院が必要な際の受け入れ先といったつながりは、医院の診療を支えている基盤です。院長が変わることで紹介の流れが止まれば、患者数に影響します。

行政も関係者に含まれます。診療所の開設と廃止の届出を受ける保健所、保険医療機関の指定を行う地方厚生局、医療法人の認可や届出を扱う所轄庁です。これらの手続きの日程が承継全体のスケジュールを決めるため、実務上は最も日程を左右する存在といえます。

そして院長のご家族です。医院の資産が院長個人の資産と重なっている場合、承継の方法を決めることは相続財産の配分を決めることにつながります。後継者となる子に資産を集中させれば、他のご家族との間で不均衡が生じます。承継の設計と家族の合意は切り離せません。

このように、医院の承継では関わる人と組織が多岐にわたります。誰にいつ何を伝えるかを整理しないまま進めると、思わぬところで話が止まります。関係者を書き出して優先順位と伝える時期を設計しておくことを、早い段階でおすすめします。
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