意向表明書(LOI)|医療機関のM&A、譲渡、売却をお考えの皆様へ

意向表明書(LOI)

いこうひょうめいしょ

意向表明書(LOI)

いこうひょうめいしょ

意向表明書とは、買い手側が譲り受ける意向と主要な条件を文書で示すものをいいます。英語のLetter of Intentを略してLOIと呼ばれます。医院の承継では、トップ面談を経て検討を進めたいと判断した候補者が、譲渡側に対して自らの考えを整理して提示する書面にあたります。

この書面が用いられるのは、交渉の出発点を明確にするためです。口頭のやり取りだけで検討を進めると、双方が思い描いている条件がずれたまま時間が過ぎることになります。金額の水準、承継の時期、引継ぎ期間の想定といった要素を書面にすることで、次の段階に進む価値があるかを譲渡側が判断できるようになります。複数の候補者から意向表明書を受け取れば、条件を並べて比較することもできます。

記載される内容は、まず譲り受けたい対象の範囲です。医院の事業を事業譲渡として引き継ぐのか、医療法人の出資持分を譲り受けるのか、不動産を含めるのか含めないのかを明示します。次に想定する金額です。この段階では確定した金額ではなく、幅を持たせた表示にするのが一般的です。デューデリジェンスを経て変動する前提であることを併記します。

続いて、スケジュールが記載されます。デューデリジェンスをいつ行うか、基本合意をいつ結ぶか、最終契約とクロージングをいつに設定したいかという想定です。医院の承継では、保険医療機関の指定に関わる行政手続きの日程が全体を左右するため、この見通しが現実的かどうかは重要な確認点になります。

さらに、検討の前提条件が記されます。デューデリジェンスで確認したい範囲、資金調達の見込みと融資の審査状況、法人内部での承認手続きの状況といった項目です。買い手が医療法人であれば、理事会や社員総会での決議が必要になる場合があり、その見通しも前提に含まれます。

医院の承継に特有の記載事項として、承継後の運営方針が挙げられます。診療科目を継続するのか、診療時間をどうするのか、スタッフの雇用を継続するのか、前院長にどの程度の期間残ってほしいのかという点です。譲渡側の院長にとって、金額と同じかそれ以上に関心の高い部分であり、この記載の内容が候補者の選定に影響します。

法的な性質についても理解しておく必要があります。意向表明書は、原則として法的拘束力を限定した形で作成されます。この書面を出したからといって、必ず譲り受ける義務が生じるものではありません。デューデリジェンスで想定外の事実が判明した場合や、資金調達がまとまらなかった場合には、検討を取りやめることが認められます。ただし、秘密保持に関する条項や、独占的に交渉する期間についての条項には拘束力を持たせる形が取られることがあります。どの条項に拘束力があるのかは、書面上で明確にしておくべき点です。

譲渡側が意向表明書を受け取った際に確認したいのは、金額の水準だけではありません。その金額の根拠が示されているか、資金調達の見込みが具体的か、承継後の運営方針が自院の方向性と合うか、スケジュールが現実的かという点を併せて見ます。高い金額を提示していても、資金調達の裏づけがなければ実現しません。医療法により診療所の開設者は原則として医師である必要があるため、候補者がその要件を満たしているかという基本的な確認も欠かせません。

意向表明書を受けた後の流れとしては、譲渡側が内容を検討し、進める相手を選んで基本合意へ向かいます。この段階で独占交渉の取り決めがなされることが多く、一定期間は特定の候補者とだけ交渉を進める形になります。

なお、医院の承継では、規模がそれほど大きくない案件において意向表明書を省略し、トップ面談から直接基本合意へ進む例もあります。それでも、条件を書面で整理する工程を挟むことで、後の認識の食い違いを防げます。仲介業者やアドバイザーに任せきりにせず、記載内容を自分で確認することをおすすめします。
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