チェンジ・オブ・コントロール条項|医療機関のM&A、譲渡、売却をお考えの皆様へ

チェンジ・オブ・コントロール条項

ちぇんじおぶこんとろーるじょうこう

チェンジ・オブ・コントロール条項

ちぇんじおぶこんとろーるじょうこう

チェンジ・オブ・コントロール条項とは、契約の当事者の支配権が変わった場合に、相手方が契約を解除できる、あるいは事前の承諾を必要とする、または条件を変更できると定める条項をいいます。支配権の移動を意味するChange of Controlの頭文字からCOC条項と略されます。医院の承継では、医療法人を引き継ぐ形をとる場合に注意すべき条項として位置づけられます。

この条項が問題になる理由を理解するには、スキームによる違いを押さえる必要があります。個人立の診療所を事業譲渡で引き継ぐ場合、契約の当事者が変わるため、そもそも一つずつ相手方の同意を得て引き継ぐことになります。手間はかかりますが、どの契約を引き継げるかは交渉の過程で明らかになります。

一方、医療法人の出資持分を譲渡する形、あるいは社員の入れ替えと役員変更によって経営権を移す形では、法人格がそのまま残ります。契約の当事者は変わらないため、原則として契約はそのまま継続します。手続きが軽く済むことが、この形を選ぶ利点の一つです。ところがチェンジ・オブ・コントロール条項が置かれている契約については、この前提が崩れます。当事者は変わっていなくても、実質的な支配権が移ったことを理由に、相手方が契約を解除できる、あるいは承諾を求められることになります。

医院の承継で該当し得る契約を挙げると、まず金融機関との融資契約です。支配権の移動を理由に、期限前の返済を求められる、あるいは事前の承諾を必要とするという条項が置かれていることがあります。返済を求められれば、承継直後に多額の資金が必要になり、計画が崩れます。

次に、テナントの賃貸借契約です。法人が借主である場合、その法人の実質的な支配者が変わったことを理由に、貸主の承諾を必要とする条項が置かれていることがあります。承諾の条件として賃料の引き上げや保証金の追加を求められる可能性もあります。

医療機器のリース契約も対象になり得ます。リース会社が支配権の移動を解除事由としている場合、契約を引き継げず、解約に伴う清算金が発生することがあります。電子カルテのベンダーとの契約、業務委託契約、医薬品卸との取引契約についても、同様の条項が置かれている場合があります。

補助金や助成金の交付に関する取り決めにも注意が必要です。一定期間の継続を条件として交付を受けている場合、運営主体が実質的に変わることによって返還を求められる可能性があります。医療機器の導入や施設の整備に補助金を活用している医院では、確認しておくべき事項です。

こうした条項が置かれているかを確かめる作業は、デューデリジェンスの法務の領域で行われます。医院が締結しているすべての契約書を集め、解除に関する条項と承諾を要する事項を一つずつ確認していきます。ここで問題が見つかった場合の対応は二つあります。一つは、クロージングの前に相手方から承諾を得ておくことです。承諾書の取得が最終契約の前提条件として設定されます。もう一つは、条項の適用を受けない形にスキームを変更することです。

譲渡側が留意すべき点として、契約書の所在を把握しておく必要があります。開業から長い年月が経った医院では、契約書が見つからない、あるいは口約束で運用されているという状態が起こりがちです。原本がなければ条項の有無を確認できず、承継の直前に問題が発覚することになります。契約の一覧を作り、原本を揃えておく作業は、承継の準備として早い段階から行っておくべきものです。

買い手の立場からは、この条項の存在が価格の判断にも影響します。承継後に融資の返済を求められる、賃料が引き上げられる、リース契約を結び直す必要が生じるといった事態は、いずれも追加の負担になります。判明した場合は、価格の調整か、承諾の取得を前提条件とする形で整理されます。

チェンジ・オブ・コントロール条項は、契約書を読まなければ存在が分からない性質のものです。承継の日程が固まる前に確認を済ませておくことを、弁護士や医療分野に詳しい専門家と一緒に進めることをおすすめします。
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